グラス一杯、なにかを

とりあえず書き置く癖からつけようぜ

男女共生の労働環境はまだまだ過渡期なのだと思う

家庭を作れるか作れないかという観点から、人間ひとりひとりの生産性について問われわれたり

大学入試の現場における男女の評価の差について議論が巻き起こったり

男と女が平等にやっていく方法についてはまだまだ手探りの部分が多い。

 

かくいう私は業種柄、男性の割合が圧倒的に多い職場に勤めている。

ここで働く男たちは、常に数の面において男がマジョリティである世界でしか生きていないから、男をマジョリティとしたやり方ばかりに長けてしまい、女の扱いには実は不得手な人間が多いのだとも思う。

しかし、それを旧式の価値観だとか男性優位だからあかんとかと責めるのはまた違うわけで、そういうやり方でやっていけていたものが、そうではない時代が到来してしまっただけで、みんな困っているとかしか言いようがない。

男の人だって当然女の扱い方に困るだろうけれども、女だって、男ばかりの職場でどう振る舞えば仕事がうまくいくかについては試行錯誤なのだ、困っているのはきっとお互い様だ。

 

ただ、困っていることを「だから男は」「だから女は」と性差の問題に回収してしまうのではなく、「どうすれば一番男と女が一緒に働く職場が快適なのだろうか」と意識して考えていかなければ、この困惑からは出られないのだろう。

 

女の私としては、ロールモデルがたくさん欲しいなと思う。男と女がうまくやっていくスタイルの、いろんな事例を見てみたいなと思う。

じゃあ、自分のスタイルは如何なのか?私はこの春から、地方の小さな事務所に転勤になり、そこで係長職まで拝命してしまった。正規の女性は私ひとり、他の女性は皆非常勤で、他はみんな男だ。

係長といっても係のメインの仕事は私と補佐の非常勤さんだけで、全体の総括として上司はいるけれど、細々とした実務的な部分については私がきちんと考えて、周りと話ができなければならない。男だろうが女だろうが関係なく、これはこうしたほうがいい、これはこんな問題がありできない、これはこうしてはどうか、ということをきちんと

出す。判断に困れば、ここは如何なのか、こんなのことがあったのだがと意見を求める。そうやって、物事を前に進めるプレイヤーとして認められなければならない。

そして幸いにして、私は周りのメンバーに恵まれたとしか言いようがないのだが、きちんとチームの一人として認めていただいて、仕事ができている。これは本当に嬉しいことだが、嬉しいのは「女なのに認められた」ではなく、「一人の人間として、チームの一員になれた」という事実でありたい。そう居られる道があるのだから、腐らなくても卑屈にならなくても一生懸命頑張れば大丈夫だよ、と後輩の女性たちに言えるようになりたい。

そもそも、今年31歳になる私の世代は、リーマンショック東日本大震災による不景気なムードにより、採用人員の削減に遭った世代である。それゆえ、私たちの世代は組織の中で層として絶対数が少なく、役職付きに昇進させる条件に、男だ女だだのは言ってられないのである。経験年数や年齢を考慮して、もうそのポストの仕事を与えられるのはひとまずお前しかおらん、みたいな状況で、男と女の能力差の話ではもはやない。お前が男だろうが女だろうが、お前しかおらへんねん、という状況なのだ。

この状況は自分にとってはメリットだったとも思う。とはいえ、手放しでメリットとはいえない、そこまでの状況がなければ女が認められる場は与えられなかったのだろうか?という疑問が残るからだ。しかし、そんな状況が当然になってしまうように自分の所属している組織が舵を切ってしまっているなら、もう乗るしかない。そして乗ったからにはなるべく、楽しいから大丈夫だよ!と周りに言えるようになりたいし、周りがそういう体制の中で安心して働ける心持ちで向き合えるような一助でありたいと思う。

 

 

なーんて、グダグダと。居酒屋のカウンターでちょっといい気分になってきて熱燗でも頼み始めた位の頃合いの熱意を込めた話をしてしまった。はて、男だらけの職場にいる私、実際のところ如何なのか。

仕事については恵まれているのだと先述したが、果たして小さなオフィスに定時のチャイムが鳴った後、懇親会という名のいわゆる関係各位との「飲み会」が我々の職場はそこそこ頻度がある。チャイムが鳴った後の事情であるこちらには非常勤さんを拘束することはできず、いつも紅一点で酒場に向かう。私は酒量は男に負けていないと言われる、単に炭酸があまり飲めないという理由でビールは少量、あとは梅酒のストレートや日本酒やワインをだいたい2〜3合嗜む程度なのだが、周囲からは酒飲み扱いされている。

仕事のことでちょっとため息をつけば「酒が足りないのか?」の他の課の上司から声をかけてもらい

そこで熱燗を頼めば、先輩たちが「姐さん手酌はダメっす!!」「姐さんに酒を!!」とずっと後輩の私にお酌をしてくれる

 

仕事の懇親会だけでない、社宅で職場の数名と休日に鍋をした時だって、

買い出しに行った先輩と同期が、缶ビールだらけのスーパーの袋からすっと一本「姐さんにだけ特別に綺麗な酒買ってきました!」とスパークリングワインを差し出す

 

…酒飲み女が男だらけの職場に来た結果

酒に関してはレディーファーストが働くようになってしまった

 

男と女が均等に、全くの平等に働くのは難しいと思う。

アルコールレディーファーストで迎えられている私は逆セクハラをしているのか?とも思う。

しかし、一度たりとも私は男たちに強要はしていない、私が酒を頼めば彼らが自主的にお酌をしてくれたり、鍋の酒はあるもの飲むからなんでもいいよと言っても別途ワインを用意してくれたりする。むしろお願いだから強要だとか、私が怖いからそうしているだとかは思われたくない。そこに「姐さん」と呼んで酒を注げば楽しい人間がいて、お互いにそれが楽しいのだと思ってやって欲しい。まあ、私はとても気分がいいけどな!

 

 

もちろん、私のような扱われ方が正解ではないと思うけれども、でも男と女がいる中で、どちらの性も不愉快にならない楽しみかたが見つかればいいんじゃないかと思う。

みんなが快適な職場を目指すとなると、「みんな」を構成する種類が増えれば増える保ほど、みんなの同質性が薄まって差異のレベルが多彩になればなるほど、「みんな」の快適の道を探すのは難しいのだろう。しかし少なくとも、特に働く人々の世界にとって「みんな」とはかつて男ばかりで構成されていたものであったところが、今は「みんな」の中に男+女が入り混じるようになった時代であることは確かだ。そこはもう致し方ないものとして、個々人が「みんな」像をアップデートしていくしかないのだろう。自分の周囲にいる「みんな」が色々と自分と違う人だらけだという事実かつ、自分が様々の「みんな」の中でどうあるべきか、様々の「みんな」をどう受容していくのが良いかということを。