グラス一杯、なにかを

とりあえず書き置く癖からつけようぜ

恋が言葉を殺すなら

誰かに強く惹かれてしまうということは

誰かによって、他人によって、

自分の存在そのものが安らかでいられる可能性を見出すことだ。

 

 

私の常の日々は、絶えず揺るがされる自分の存在そのものへの安心を、内向きに折り合いの付けてやってのけるうちにすぎていく。

孤独のうちに頼りない手を、整然として美しく並ぶ言葉のうちに突っ込んで

寄る辺ない生への期待や感傷を手探りしたり。

己の内内に湧き出るものを辿々しくも言葉にして綴ることで、

自分という人間の輪郭を描き確かめ保ったり。

 

でも、恋が、

人間どうしの愛により、

わたしという人間をここに居させてくれるという幻想を見せるなら。

 

私の生活に必要な言葉は、

他人を優しく労わり愛するためのものばかりになるだろう。

もう、探さなくてよくなるはずなのだから、

自分がほかの誰でもなく自分として透明にならずにいられる方法を。

もう、慰めてもらわなくてもよくなるはずなのだから、

あらゆる人間たちや万物事象の誰とも何とも通じ合えずに、

己が滑り落ちていく虚しさを。

 

昨夜の寒さはいくばくかマシだった。

君との小さな飴玉を転がすみたいなやり取りに、僕は少し言葉を忘れたくなってしまった。